最近故障の問題もありますが、エンゼルス大谷翔平選手の活躍に暑さの吹き飛ぶ思いをしていらっしゃった方も多いのではと思います。そんな大谷選手がホームランセレブレーションで被って話題となった日本製の兜がありました。今回はその兜を作った会社の経営について少しお話させていただければと思います。
 話題となった兜を作製したのは鹿児島県薩摩川内市の丸武産業株式会社です。地方のオーナー企業ではありますが、全国シェア8割を誇る甲冑メーカーだそうです。先々代の時竹製釣竿の製造で起業し非常に売れましたが、グラスファイバー製の釣竿の普及で需要が激減、趣味で集めて手入れをしていた甲冑が高値で売れた経験から、1973年に甲冑製造へと業態転換し同種のメーカーが少なかったこともあり売り上げを伸ばしたそうです。この辺の見通しの悪くなった業態からの転換は色々と参考になるかもしれません。
 1990年、「甲冑もいつかは売れなくなる」と考え、観光施設「川内戦国村」をオープンし多角化を図りました。その後2代目が事業を継ぎ拡大、3代目が現在社長です。3代目が外部から本社に戻ったときに気付いたのは、社内に派閥ができて職人間のコミュニケーションもうまくいっていないということだったそうです。また本社・工場と戦国村が離れた場所にあり老朽化も進んでいることも心配だったようです。そこで3代目は本社、工場と仙谷村の集約化とリニューアルに取り組みました。施設のリニューアルに当たっては職人ファーストで意見を聞き取り入れたそうです。また集約化によりひとつ屋根の下で社員が過ごすことFでコミュニケーションが増加し自然に社内の雰囲気が良くなっていったということです。
 この例から学べるのは、場合によっては物理的な方法も併用し社内のコミュニケーションを改善することで会社は良い方向に行けるということだと思います。また地方の企業でもニッチな業態を確立することで全国的にも戦えるものだということも言えそうです。
  

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