新型コロナの方も大分落ち着き、仕事帰りのチョイ飲みも戻ってきているようです。そんな中でチョイ飲みに便利な店ということで中華料理の日高屋が今好調だそうです。主に首都圏から甲信越地方という同社の出店方針から山形在住の私はあまりご縁がありませんでしたが、その辺の出店方針も好業績の一因となっているようです。
 2024年2月期第2四半期決算では、売上高は237億円(前年同期比+35.2%)、営業利益24億円(前期は▲1.95億円)と大きく改善したようで、来店客の動向がその後も好調に推移しており、さらに上振れする可能性もあるようです。コロナ禍が去りつつあることで同社の強みであった首都圏駅前立地とチョイ飲み需要の取り込みがうまく回ったということはあるかと思いますが、原材料費の高騰に多くの外食チェーンが苦しんでいるところ同社の好調には理由がありそうです。
 一つには同社も値上げを実施してはいるものの、ラーメン+餃子+ビールというセットメニューは1000円以下を死守する、という考え方が受け入れられており、客数の減少を招かなかったと言うことがあるのでしょう。チョイ飲み客のニーズのポイントはつかんで離さないという姿勢が功を奏したのだと思います。
 また今後の出店戦略として、首都圏から関東甲信越など近接地域へのエリア拡大とともに、乗降客3万人程度の駅前への出店を強化するという手をとっているそうで、この感じの駅は、駅周辺に飲食店街はあるものの、少し遅い時間帯になると開いている店が少ない傾向にあるため、遅めの時間帯に日高屋が開いていると、「かなり助かる」といった環境といえ、競合の少ない地域で中華需要を獲得し持続性を担保しつつ、ちょい飲み需要を獲得する、というかなり賢い戦略と思われます。
 こういった自社の強みをよく理解しポイントを外さず、かつそれがもっとも生きる戦場を選ぶということは、基本ですがなかなか実行が難しいことであると思います。
 同社は創業50周年を記念して創業者が非正規を含めた従業員に株式を譲渡するなど、従業員への報酬面での配慮がなされている企業といえ、今後は、従業員のキャリアアップに対するもう一歩の踏み込みということが、従業員の確保が難しい外食産業としてポイントとなるのでしょう。そしてこうしたキャリアアップへの配慮の重要性は、人手不足に悩む労働集約的な産業に共通することだろうと思われます。

 

    古瀬行政書士事務所の会社設立御相談ページへ