令和4年度も後半に入りましたが、この時期を機に来年度に予定されている法改正について少しお話させて頂きたいと思います。
 企業経営層の方に直接関係しそうな改正として、まず育児休業取得状況の公表の義務化が挙げられます。これは令和5年4月1日より、常時雇用する労働者が1000人を超える事業主は育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられるものです。ここで公表内容は、公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度の男性の①育児休業等の取得割合又は②育児休業等と育児目的休暇の割合です。①、②は各々①(公表前事業年度中に雇用する男性労働者が育児休業等をしたものの数)/(公表前事業年度中に事業者が雇用する男性労働者であって、配偶者が出産したものの数)、②(公表前事業年度中に雇用する男性労働者が育児休業等をしたものの数+小学校入学の始期に達するまでの子を養育する男性労働者を雇用する事業主が講ずる育児を目的とした休暇制度を利用したものの数)/(公表前事業年度中に事業者が雇用する男性労働者であって、配偶者が出産したものの数)で、公表割合と合わせて当該割合の算定期間である公表前事業年度の期間及び①又は②のいずれの方法により算定したかも明示することになっています。
 上はやや企業規模の大きい事業者が対象になっていますが、中小企業にも関係する改正として令和5年3月31日までは月60時間超の残業割増賃金率は大企業が50%、中小企業が25%ですが、令和5年4月1日からは中小企業も50%となるというものが挙げられます。この点への対策として、働き方改革に取り組む中小企業事業主に、環境整備に必要な費用の一部を国が助成する「働き方改革推進支援助成金」があります。
 これらの法制度改正を見ると、少しずつではありますが、より多様性に富み人間らしい働き方といったものが社会に実装されてきているという感があります。経営者の方もそういった視点を大事にしていただければと思います。
 

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