昨今の賃上げについて
少し前に今年の春闘がスタートし、少しずつ回答も出ています。今回はこれに関わる企業の賃上げについて思うところを述べさせていただきたいと思います。
この春闘でも、労使ともに物価上昇を上回る賃上げを目指すことでは一致するようです。しかし好業績の大手企業は高水準の賃上げ継続に前のめりですが、経営体力の厳しい中小企業は「賃上げ疲れ」が指摘されます。私は個人事業者なのでどちらの立場でもありませんが、物価上昇の中被用者であれば少しでも高い賃金を求めるのはまあ当然でしょうが、使用者側がどれだけ応えられるかは難しいところです。中小企業庁が昨年11月に公表した調査結果によると、労務費や材料費のコスト上昇分のうち販売価格に転嫁できた割合は、発注企業からの1次請け企業が54.7%、2次は52.5%と5割を超えましたが、4次以上になると42.1%と、転嫁率は多重下請けほど悪化するそうです。このようにコスト高のしわ寄せは中小事業者に集まってしまい、製品価格に転嫁して人件費を吸収するというのがなかなか難しいようです。一方で人手不足の中良い人材を採用するにはそれなりの待遇を保証する必要もあり悩ましいところです。
価格転嫁を前進させる切り札と期待されるのが、下請法を改正した中小受託取引適正化法(取適法)だそうです。発注者側に受注者側との価格交渉を義務付け、26年春闘に照準を合わせ、1月1日に施行されました。発注者と受注者の力関係を連想させる「下請け」という言葉をやめた上、中小企業の交渉力を高めて、賃上げ原資を確保する狙いがあるようです。
こういった法制度も活用し業界全体として、労使とも賃上げムードを底上げしていくことが必要なのではないかと思います。個々の事業者にできることには限界があり、日本経済全体の向上のためにも事業者の団結した動きが問われているのではないでしょうか。