商品の値付けについて
長年のデフレ感覚も薄れてやや物価上昇が気になるこの頃ですが、事業をなさっている方は商品やサービスの値付けに頭を悩ませておられるのではないかと思います。そんな中佐賀の茶農家がお茶1杯5000円で売り出し結構な成功をおさめているという事例がありましたのでちょっとご紹介したいと思います。
ことは、佐賀県嬉野市の茶農家たちが2017年、1杯5000円で特産品「うれしの茶」を振る舞う観光プログラムをはじめたことによります。日本全国の飲食店や宿泊施設などでほとんどただ同然で提供させるお茶にそんな値付けをして大丈夫なのでしょうか。それが結構上手く回っているようなのです。この観光プログラムは「ティーツーリズム」と呼ばれるもので、生産者が自らお茶3杯を振る舞い、参加者と対話するというもの。茶菓子がつくコースもあるが、参加料金は一人1万5000円(税別)なので、単純計算でお茶1杯につき5000円となるわけです。紆余曲折ありましたが、オープンしたプログラムは、市外からの観光客がメインだったといいますが、値段よりも高級感や体験の希少性などに惹かれて来店し結構な売り上げを上げたそうです。関係者は「質で勝負すれば、高くても売れる」と思ったそうです。2017年に雑誌で特集されて、そこから旅行関係者や都市部の富裕層などが物珍しさでやって来るようになり。20年の新型コロナウイルスの感染拡大時は減少するも、22年ごろから再び増加基調に。コロナ禍以降は海外観光客も増えて、21年は236人、22年は505人、そして23年は542人がティーツーリズムに参加したとのこと。国籍も欧米、中国、シンガポールなどと広がっているそうです。ティーツーリズムの事業基盤ができ上がったことで、人員の増強に踏み切り。茶農家は4~6月は茶摘みの繁忙期であるため、その間は専任のコンシェルジュが担当するようにし、しかも外国語の堪能なスタッフを雇ったことで、海外観光客の対応もスムーズになったそうです。
さらには都内高級ホテルでの提供を始めたり、全国的に小売りを始めたりと次なる展開を進めています。
これから言えるのは今まで常識的に安価だった商品やサービスでも質にこだわり提供の仕方を工夫することで存外値が付くことがあるということです。私たち自身の仕事にも参考にしては如何かと思います。