駅の掲示板の復活について
皆様は以前駅に掲示板があった時代をご存知でしょうか?個人的な話になりますが、私が学生や若いサラリーマンだった頃は、携帯などなく駅の掲示板前で待ち合わせしたり掲示板に色々と連絡事項を書いてコミュニケーションしたりしたものでした。携帯の普及などにより連絡手段として陳腐化し場所ふさぎになるなどの理由で撤去されあまり見られなくなった駅の掲示板ですが、少し見直す動きがあるようです。
「大切な人への思いを、伝言板に書いてみませんか」と2022年~23年の年末年始、東京・池袋駅構内に大型の伝言板が設置されました。設置したのはプレスリリース配信サービスを運営するPR TIMES(東京都港区)です。同社のプロジェクト担当者は「訪れた人が懐かしさや物珍しさから立ち寄って参加いただけるように、そして、大切な人への思いを伝える手書きのメッセージの温もりを肌で感じられる場を作りたいと考えました」と設置理由を説明しています。
また現代ならではの形で復活を遂げた伝言板の事例として、JR東日本グループの広告代理店・ジェイアール東日本企画(東京都渋谷区)は、22年9月1日からJR総武線の4駅(錦糸町、亀戸、小岩、市川)に、伝言板機能を備えたデジタルボード「街あわせくん」を設置しています。 スマートフォンやパソコンから専用サイトにアクセスし、駅を選んでメッセージを投稿すると、各駅の「街あわせくん」にメッセージが表示される仕組です。利用料は無料で、アカウント登録もいらないそう。「街あわせくん」は伝言板機能のほかに、有料の広告機能も備えており、同社の広報担当者は「リアルな駅空間で、同じ街に暮らす人々のメッセージ、想いが感じられ、市民に愛されるデジタルサイネージにしたいと考え(伝言板を)復活させました」と話しています。サービス開始から約4か月で2000件を超えるメッセージが寄せられたそうです。
このような掲示板の復活事例について前者は本来の個人的コミュニケーション手段としての機能を、また後者は公衆に向けてのメッセージ機能を、それぞれ進化させたものと言うことができるかもしれません。
昭和・平成レトロがもてはやされる現在、以前使われていた事物等を新しい技術等を用いて再活用するところに新しいビジネスの芽も見えてくるかも知れませんね。